死亡見舞金とは
災害共済給付制度(スポ振/学校の保険/スポーツ保険/安全会)には死亡見舞金というものがあります。
学校の管理下でお亡くなりになった場合、学校の管理下の災害(事由)が原因でお亡くなりになられた場合などに見舞金が支給されます。
まずはきちんと根拠法令から見て行きましょう。
ちょっと難しいので、読みづらい方は破線部分は飛ばして構いません。
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独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令
第五条 災害共済給付に係る災害は、次に掲げるものとする。
一 児童生徒等の負傷でその原因である事由が学校の管理下において生じたもの。ただし、療養に要する費用が五千円以上のものに限る。
二 学校給食に起因する中毒その他児童生徒等の疾病でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち、文部科学省令で定めるもの。ただし、療養に要する費用が五千円以上のものに限る。
三 第一号の負傷又は前号の疾病が治った場合において存する障害のうち、文部科学省令で定める程度のもの
四 児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち、文部科学省令で定めるもの
五 前号に掲げるもののほか、これに準ずるものとして文部科学省令で定めるもの
2以下略
独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令
第二十四条 令第五条第一項第四号の児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち文部科学省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 学校給食に起因することが明らかであると認められる死亡
二 第二十二条に掲げる疾病に直接起因する死亡
三 前二号に掲げるもののほか、学校の管理下において発生した事件に起因する死亡
※参考
独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令
第二十二条 令第五条第一項第二号の児童生徒等の疾病でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち文部科学省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 家庭科若しくは技術・家庭科の調理実習における試食又は修学旅行若しくは遠足における給食に起因する中毒及び理科等の実験又は実習におけるガス等による中毒
二 熱中症
三 溺水及びこれに起因する嚥下性肺炎
四 異物の嚥下又は迷入及びこれらに起因する疾病
五 漆等による皮膚炎
六 前各号に掲げる疾病に準ずるものと認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの
七 外部衝撃、急激な運動若しくは相当の運動量を伴う運動又は心身に対する負担の累積に起因することが明らかであると認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの
八 令第五条第一項第一号本文に掲げる負傷に起因することが明らかであると認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの
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なるほど、まずは
●児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもの
の中から
●文部科学省令で定めるもの
が対象になってくるわけですね。
文部科学省令で定めるものとは、何でしょうか。大きく分けて3つあり、
一 学校給食に起因することが明らかであると認められる死亡
二 第二十二条に掲げる疾病に直接起因する死亡
三 前二号に掲げるもののほか、学校の管理下において発生した事件に起因する死亡
この3つです。
1は学校給食が原因のもの、2はまた別の規定(独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令第二十二条)に決められたもの、3はそのほか学校の管理下において発生した「事件」に起因する死亡です。
省令第二十二条に掲げる疾病とは【給付の対象となる災害の範囲】で説明した病気などのことですね。
事件とは何を指すのでしょうか。
それは、独立行政法人日本スポーツ振興センターの公式ページの災害共済給付の基準から読み取ることができます。
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1 「事件」とは、児童生徒等の安全な学校生活を妨げる特別な事実をいい、急激な事実であるか、継続性がある事実であるかは問わない。 ただし、自他の故意が認められない事実である「事故」も含まれる。
2 「学校の管理下において発生した事件に起因する死亡」とは、「事件」が原因であることが明らかであると認められる「死亡」をいう。
この場合において、「死亡」は、学校の外で起きているが、原因となった「事件」は学校の管理下で起きていることが明らかであると認められる場合を含む。
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やはり学校の管理下でおきた何らかのことが原因でお亡くなりになったと認められる場合、支給の対象となるようです。
しかし、児童生徒間の加害行為による場合などを除き、通学中の交通事故の場合や犯罪加害者など第三者の加害行為の場合は、本来、直接の加害者が賠償すべきであり、災害共済給付制度は加害者の損害賠償を肩代わりするものではないと考えられますので、加害者への損害賠償をすることになるのでしょう。相手方から損害賠償を受けたり、自賠責保険などで同一の事由について賠償等を受けている場合は、損害賠償額を上限として給付を受けることができません。死亡見舞金を上回る損害賠償を受けた場合は、死亡見舞金ではなく供花料(170,000円)が支給されます。
万が一、学校や学校の設置者の瑕疵(不注意、不当な指導など、管理不行き届き)が原因で、お子さんが亡くなってしまったと考えられる場合は、親御さんと学校とで争いになってしまう場合があります。しかし、管理下の災害で亡くなったことが確かであれば、責任の所在や、損害賠償等の支払いの有無を待つことなく、速やかに死亡見舞金の請求をすることができるような制度になっています。
これは災害共済給付制度の目的の一つが「学校教育の円滑な実施に資する」ことであるからです。
保護者と学校とで子どもの死について学校に責任が「ある」「ない」などを争う必要なく、速やかに給付を受けることができるようになっているのです。
このような事件が発生したときは学校は学校の設置者に、学校の設置者は事実を十分に確認してから速やかに独立行政法人日本スポーツ振興センターに相談をした方が良さそうです。
ちなみに死亡見舞金の額は、平成30年度現在、2,800万円です。
通学中の場合と、運動を伴わない突然死の場合はその半額とされていますから1,400万となります。
保育所でも学校でも同じ扱いとなります。
しかし、いくら給付があるとは言え、学校の管理下での子どもの死はあってはならないものです。
ご家庭でも、学校でも毎日の健康観察は十分に尽くすようにしましょう。
学校家庭を問わず、子どもが命を落とすようなことが無くなって欲しいと願っています。