災害共済給付について私が知っていることを皆さんと共有したい

スポーツ(運動競技)の指導者が知っておくべきこと ~強いチームを作るために一番大切なこととは~

2018/10/08
 
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本サイトは、災害共済給付制度の理解を深めることを目的としています。災害共済給付とは、一般的には「学校の保険」「スポーツ保険」「スポ振」「安全会」などと呼ばれることが多いのですが、正確には「災害共済給付制度」といいます。学校(「保育園」「幼稚園」「認定こども園」などを含みます。以下同じ。)の設置者、学校の先生、学校の先生を目指す方、学校にお子様を通わせている保護者の方、様々な方がご覧になることを想定しています。ただ一点だけ御注意いただきたいことがあります。それは、本サイトが給付の可否を断定するものではないということです。本サイトの情報をもとに請求の手続きを進めていただけたらと願いますが、最終的な給付の可否については日本スポーツ振興センターの審査結果によります。給付ができないようなことももちろんあると思いますが、きちんと手続きを踏めば適正な給付を受けることができるものを1件でも多く救いたいと思います。

これからいくつの競技について災害(怪我、負傷など)の防止の観点から記事を書いていきたいと思います。

私は多くの有望な選手が、けがなどによりその競技自体の継続を諦めてしまうことを現実に見てきました。前十字靱帯の損傷や眼のけがなどが原因で現役を退かなくてなならないようなことがあります。
指導者にとって、自分が指導していた選手がけがにより競技を継続できなくなってしまうことは、なんとしても避けなければなりません。それぞれの親御さんから預かった大切な子どもたちだからです。また、チーム全体の競技力低下という意味でも避けなければならないことでしょう。そして、何よりも選手自身にとって不幸なことです。学校の部活動などではその選手が子どもであるわけですから選手生命を断たれるような怪我、または死亡事故などは絶対に防がなくてはなりません。部活動の顧問など、スポーツ指導者は子どもの指導が「しごき」にならないよう、十分に注意をする必要があると言えるでしょう。その子の将来を奪ってしまうようなことは絶対にあってはいけません。

まず、学校でも地域スポーツでも十分に配慮するべきことは、選手個人個人の運動能力、基礎体力、運動神経は異なるということです。

私が生徒として部活動に参加していた頃、運動部の活動中に顧問の先生が実際に指導に見えることは滅多にない時代でした。先輩が後輩を指導という名のもとに「しごく」のが当たり前の時代でした。体力づくりと称して水分補給を認めず長距離走をさせた上で、成績上位者以外には水分を摂ることを認めなかったり、筋トレについても個人個人の基礎体力の差を考慮せず、一律でキツいトレーニングを課せられたりしていました。結果としてついていけない生徒は幽霊部員になったり部活自体をやめたりするわけですが、それは楽しい部活動を夢見て部活を始めた生徒にとっても、部活動を通じて生徒にさまざまなことを教えたかった学校にとっても不本意な事です。国全体の施策としてもスポーツ人口を増やそうといっていますが、このようなやり方がもし今もあるようでしたら運動嫌いな人は減らないことでしょう。

全ての競技においていえることですが、少なくとも学校の部活動という場においては、勝利至上主義ではなく子どもの心身の健全な育成のために行れるべきです。
オリンピックで金メダルを目指す為にごく一部のトップアスリートが競技をしているわけではないのです。まずは学校の部活動においてはスポーツに馴染むこと、楽しみ事に重点をおいて指導をしていくのが良いのではないかと考えます。
これからそれぞれの運動種目について死亡事故や障害を防ぐ為に何が必要か各論を書いていきますが、まずは全ての競技において共通して指導者が留意すべき点は以下のとおりです。

●基礎体力づくりはそれぞれの子どもの体力に応じたメニューをさせる
●体調不良、怪我を見落とさない
●突然死の予防について
●各スポーツ競技ごとの死亡・障害件数

●基礎体力づくりはそれぞれの子どもの体力に応じたメニューをさせる

→ たとえば、運動経験のない肥満気味の生徒と、少年スポーツ団体などで継続的に運動をしてきた子には基礎体力に相当な開きがあります。同じ距離を走らせるにも同じ筋肉トレーニングをさせるにも心身に掛かる負荷に大きな違いがあります。どちらかの子に合わせて画一的な練習メニューを決めるようなことは避けなくてはなりません。
基礎体力の無い子にあわせたメニューでは運動経験のある生徒を伸ばすことができませんし、運動経験のある生徒に合わせた運動メニューでは経験の無い生徒は着いて来れないのです。特に運動部活動の顧問をされる方は過去に競技暦のある方が多いため、この点は見落とし勝ちです。無理な運動をさせることは怪我に繋がるだけではなく、突然死などのリスクもあります。生徒の部活動に対するモチベーションも下げることでしょう。指導者はそれぞれの生徒の基礎体力を十分把握の上、必要に応じて個別に練習メニューを組む必要があります。同じ距離を走らせたり、同じ負荷の筋肉トレーニングをさせるのではなく、個人個人の生徒が自分の最適なトレーニング量、質になるよう調整しながら指導をしていかなければならないのです。
運動経験の浅い生徒は運動負荷の弱い運動から始め、その生徒の成長に応じて徐々に運動を強化していく配慮が必要です。

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●体調不良、怪我を見落とさない

→ 運動部活動によってはレギュラーとして大会に出れる生徒とベンチ入りが出来る生徒、ベンチ入りすらできない生徒が出てしまうのはどうしても仕方がないことです。
サッカーは11人の競技ですし、野球は9人の競技、バスケットボールは5人の競技ですからそれぞれベンチ入りの人数を考えても試合に出れない生徒が出てしまうことは止むを得ないことです。
生徒達は試合に出て活躍することを望む子が多いので、多少の怪我や体調不良があったとしてもそれを指導者に申し出ないことがあります。
また、あってはならないことですが、指導者もエース級の活躍をする生徒に体調不良が怪我があったとしてもそれが重篤でなければ、見てみぬふりをしてしまうことがあります。
しかし、これが大きな災害に繋がることを十分に認識していただきたいと思います。
連投を続けたピッチャーが肩や肘を壊したり、怪我を押して出場を続けた選手が、けがをした場所を庇いながら運動をすることで、さらに大きなけがをしたり、見た目にはわからなくとも、疲労骨折など負荷が継続して累積して損傷となる場合があるのです。
生徒が長期に渡って自分の好きなスポーツで活躍するためには、たとえ長期であったとしても勇気をもって休息をさせること、治療に専念することなどを、半ば強制的であったとしても指導者から指示することが必要です。
そのためには指導者は常に生徒の体調に目を配ること、生徒が自ら体調不良を訴えやすい環境を作ること、治療のために一時的にレギュラーを外したとしてもまた活躍のチャンスを与えることを約束することなどが必要です。
子どもたちには、まだこれから未来があります。そのときの部活動でだけ、いい成績が残せれば良いわけではありません。そのことは子どもにはまだ実感の持てない部分でもありますから、そこは大人である指導者からしっかりと指導をするようにしてください。大会で良い成績を目指すことだけが指導ではありません。
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●突然死の予防について

運動指導中に亡くなる災害には突然死が多く含まれています。運動を原因とする突然死は、くも膜下出血が原因で亡くなってしまうようなものや心臓疾患などで亡くなるものを指します。学校における死亡事故全体の数はかつてに比べて大きく減っているものの、スポーツ中の死亡事故の中で突然死の割合は相変わらず高く、5~6割近くが突然死です。スポーツの指導者は、生徒の既往症について十分に把握するとともに、既往症がないとされている生徒についても、いつ、どこで病気を持つようになるかわからないことを肝に命じておくべきでしょう。本人が希望したとしても、本人にとって過大な負荷となるような運動はさせないよう指導をする必要があります。その指導をするためには生徒個々の運動能力を指導者が把握しておく必要があるのです。

めまい

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●各スポーツ競技ごとの死亡・障害件数

これから各スポーツ競技について、特に競技人口が多いものや重篤な災害が多いものについて、独立行政法人日本スポーツ振興センターが提供している資料(学校事故事例検索データベース)をもとに災害の防止について考えていこうと思います。
現在確認できるだけで、平成17~28年までの11年間で、代表的な競技ごとの死亡・障害の合計件数は以下のとおりです。

野球       792
サッカー     410
バスケットボール 267
ソフトボール   151
バレーボール   114
水泳        92
ラグビー      83
柔道       123
剣道        32

件数が多い=危険なスポーツではありません。防止をしっかりやれば防げる事故、防ぐことが難しい事故それぞれありますし、競技をしている人の数が多くなれば、どうしても事故も多くなります。
本来楽しむためのスポーツにおいて子どもたちが怪我をしたり、なくなってしまったりすることのないよう、指導者は十分に気をつけるようにしましょう。
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現役の選手たちが怪我などで十分な活躍をできなくなることがそのチームにとって大きなマイナスになることは明らかです。怪我や病気で活動ができなくなってしまう子どもを作らないことが強いチームを作るために一番大切なことです。指導者は、子どものためにもチームのためにもぜひ子どもたちの健康と体力に配慮した指導を続けていただきたいと思います。

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