災害共済給付について私が知っていることを皆さんと共有したい

熱中症の予防と災害共済給付について

2018/10/08
 
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本サイトは、災害共済給付制度の理解を深めることを目的としています。災害共済給付とは、一般的には「学校の保険」「スポーツ保険」「スポ振」「安全会」などと呼ばれることが多いのですが、正確には「災害共済給付制度」といいます。学校(「保育園」「幼稚園」「認定こども園」などを含みます。以下同じ。)の設置者、学校の先生、学校の先生を目指す方、学校にお子様を通わせている保護者の方、様々な方がご覧になることを想定しています。ただ一点だけ御注意いただきたいことがあります。それは、本サイトが給付の可否を断定するものではないということです。本サイトの情報をもとに請求の手続きを進めていただけたらと願いますが、最終的な給付の可否については日本スポーツ振興センターの審査結果によります。給付ができないようなことももちろんあると思いますが、きちんと手続きを踏めば適正な給付を受けることができるものを1件でも多く救いたいと思います。

平成30年7月中旬、日本はほぼ全ての地域において酷暑という表現が相応しいほどの気温でした。
その中で熱中症などで体調を崩された方も非常に多かったと報道されています。
そして、学校において熱中症と思われる事象でお亡くなりになる児童がいました。
尊い命が失われてしまったことをとても悲しく思います。
命を落とすほどではないにせよ、体調を崩された方も非常に多かったのではないかと思います。
小さな子どもから高齢者までなんとかこの酷暑を無事に乗り越えて欲しいと思います。

災害共済給(スポ振・安全会・スポーツ保険)では学校の管理下の災害について給付の対象としていることは既に説明したとおりです。そして負傷については広範囲に対象となるけれども、疾病については省令で定められたもののみが給付の対象となるのでしたね。
では、学校や幼稚園、保育園で熱中症になった場合は、給付の対象になるのでしょうか。
公式ページには給付対象範囲として【熱中症】と明記がされています。
学校の管理下で子どもが熱中症のような症状を示している場合は、なるべく早く医療機関に受診をさせるようにしましょう。
また、ただ「医療費の給付がなされればそれでいい」わけではないと考えます。熱中症は高体温から多臓器不全を併発し、最悪の場合死を招くこともある非常に危険な疾病ですので、何よりも予防が大切です。そしてその次に大切なのが適切な応急処置と医療機関への搬送です。
学校で起きる熱中症の多くは運動中や野外活動中、熱の籠る場所(締め切った武道場など)で起きるものですから暑い中での運動、野外活動、熱の籠る場所での長期滞在には十分な注意が必要です。気象条件に合わせて予定されていた授業や行事の中止も含めそのつど判断をしていきましょう。当日の天気予報や実際の温度を見ながら教育活動の見直しをすることが必要です。
客観的な指標としてはWBGT計(湿球黒球温度)で判断をすることが日本体育協会などから推奨されています。気温が高く、湿度も高い環境下だと体から放熱することが困難になることから熱中症のリスクが高まります。そこで活躍するのが温度と湿度を客観的に計測できるのがWBGT計というわけです。
学校、幼稚園・保育園の現場においてはぜひWBGT計を用意しましょう。今すぐエアコンを導入することが難しい現場においても、今すぐWBGT計を購入することは可能ではないでしょうか。

WBGT計

また、既に実施されている学校も多いと考えますが、具体的な熱中症の予防策をいくつかご紹介いたします。

〈 学校、幼稚園・保育園における熱中症の予防策 〉

・児童生徒らにスポーツドリンクなどを水筒で家から持たせるようにする
・クールスカーフなども携行を推奨
・環境条件を知る
・応急処置に備える
・個人差に注意する
・初期症状を見逃さない
・柔軟に教育計画の変更をする
・最後に

・児童生徒らにスポーツドリンクなどを水筒で家から持たせるようにする
→水やお茶ではなく、スポーツドリンクなどがより望ましいと考えます。汗では水分とともに「電解質」が失われます。お茶や水では水分補給は電解質の補充はできず、それだけでは不十分なのです。

スポーツドリンク

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・クールスカーフなども携行を推奨
→クールスカーフなどはいつでもどこでも使用を認めましょう。熱中症の症状には個人差があるのでいつでも気軽に使用できる環境づくりが必要です。また、登下校の際など、高温であってもやむを得ず屋外に出るときには必ずスカーフを水など冷やしてから屋外に出るようにしましょう。

クールスカーフ

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・環境条件を知る
→学校現場の中でどこが熱が籠りやすいのか、どこが快適に過ごせる場所なのか、教職員は事前に把握をしておきましょう。高温注意が出ているような日には熱が籠りやすい場所での活動は控えるなどの判断が必要です。

学校敷地環境

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・応急処置に備える
→携行補水液や保冷材などを保健室や職員室に常備し、体調が悪くなった児童生徒が同時多発しても応急処置ができるようにしておくことが大切です。応急処置は日陰や冷房の効いた部屋でわきの下や首などを冷やしたり、濡れタオルで全身を包んで気化熱を奪うなどして体温を下げることが肝要になります。

保冷剤

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・個人差に注意する
→肥満気味の人の方がそうでない人に比べて熱中症に罹患しやすいそうです。また体調が悪い人は健康な人に比べ、より熱中症に罹患しやすくなります。さらに熱中症に罹患としてもそれを訴える人とそうでない人がいます。一律にルールを定めるのではなく、児童生徒それぞれの個性に合わせて必要な処置をしましょう。

肥満児童

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・初期症状を見逃さない
→熱中症の初期症状にはめまい、吐き気、ふらつき、顔色が悪い、頭痛、疲れ、足や手の筋肉の痛みや痙攣などがあります。本人が不調を訴えなくともこれらの症状が見られる場合は、直ちに正しい応急処置を行い、医療機関への搬送をしましょう。

めまい

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・柔軟に教育計画の変更をする
→当日の天候に合わせて野外教育活動や園外活動の延期や中止などの判断をしていきましょう。児童生徒は教師の指示に従うものです、教師が責任を持って決めなくてはいけないものだと考えます。

計画の変更

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・最後に
あまり知られてはいませんが、農業用の遮光ネットというものがあります。ホームセンターなどで安価で手に入れることができ、日陰を作ることができるものです。また風通しも非常に良いので、風通しが良い日陰という環境を作ることができます。ゴーヤなどで緑のカーテンを作ることができれば、熱対策のひとつとして有効ですが、栽培技術が必要ですし、水遣りなどの手間もかかります。緑のカーテンとして機能させるためには事前に苗を育てておくなど周到な用意も必要ですが、遮光ネットであれば簡易に取り付けることができ、風通しも妨げませんので、熱中症の対策としては非常に有効です。教室のベランダや校庭の遊具等のまわりに設置するなど有効活用を試してみてはいかがでしょうか。

遮光ネット

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教職員にとっても児童生徒にとっても親御さんにとっても熱中症はぜひ避けるべきものです。学校と家庭で連携して熱中症の予防に心がけるようにしてもらえたらと願っています。

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