Q.先生が立て替えた医療費について給付金から差し引いてから保護者に渡していいですか?
Q.先日お子さんがおけがをされたときに保護者とともに先生も病院に付き添いました。しかし、急な呼び出しであったことから保護者が十分な現金を持ち合わせていなかったため、先生が立替え払いをしました。
保護者に改めてお金を持ってきてもらうのもお手数であるため災害共済給付金から立替分のみを差し引いて保護者に渡そうと思います。保護者に事前に同意をとれば問題ないでしょうか。
A.災害共済給付制度において給付金の受給者は保護者(当該生徒若しくは学生が成人している場合は本人)と明確に規定(独立行政法人日本スポーツ振興センター法第15条)されており、たとえ保護者との間で事前に同意があったとしても天引きをするようなことは避けた方が無難であると考えます。
独立行政法人日本スポーツ振興センター法
(給付を受ける権利の保護)
第三十三条 災害共済給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
事前に同意を取り付けてあったとしても、仮に保護者の意向が変わり、法律違反であると保護者に訴えられた場合には天引きを認める法的根拠がないからです。
これは私人間の同意、契約にのみならず例えば学校や保育園の決めた規則、教育委員会や市町村が決めた規則、条例等で定めたものについても同様であると考えられます。法律で受給者が保護者と決められている以上、その趣旨に反することを規則や条例等で定めても無効とされてしまう可能性があるからです(ある法律の趣旨と異なることを法的に行うには特別法で定める必要があります。)。
給付金の受給者は保護者ですから保護者に全額支給をし、全額を受領したことが分かる受領証等を受領した上で立て替えた分について返還を受ける方が妥当であると考えます。もし自治体や学校が立て替えた分を差し引くような形で給付をしている実態がある場合は、上記を踏まえ適切な対応を御検討した方が良いでしょう。