災害共済給付について私が知っていることを皆さんと共有したい

時効とは ~請求可能な期間~

2018/07/19
 
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本サイトは、災害共済給付制度の理解を深めることを目的としています。災害共済給付とは、一般的には「学校の保険」「スポーツ保険」「スポ振」「安全会」などと呼ばれることが多いのですが、正確には「災害共済給付制度」といいます。学校(「保育園」「幼稚園」「認定こども園」などを含みます。以下同じ。)の設置者、学校の先生、学校の先生を目指す方、学校にお子様を通わせている保護者の方、様々な方がご覧になることを想定しています。ただ一点だけ御注意いただきたいことがあります。それは、本サイトが給付の可否を断定するものではないということです。本サイトの情報をもとに請求の手続きを進めていただけたらと願いますが、最終的な給付の可否については日本スポーツ振興センターの審査結果によります。給付ができないようなことももちろんあると思いますが、きちんと手続きを踏めば適正な給付を受けることができるものを1件でも多く救いたいと思います。

災害共済給付制度(スポ振/学校の保険/スポーツ保険/安全会)は学校(保育所等)の管理下のおけがなどに対して医療費の支給を行っています。
障害が残った場合はその程度に応じて障害見舞金、亡くなってしまった場合は死亡見舞金が支給されます。

前回の説明では、長期の治療が必要になった場合、「どの程度の期間、給付を受けることができるのか」
について説明をしました。
支給期間といわれるものです。H30年現在は10年と法律で定められていましたね。
さて、それとは別に規定されている時効についてお話をしたいと思います。ちょっと難しいお話ですが、とても大切なお話なので、学校関係者の方、また請求を放置してしまった保護者の方には、ぜひ確認をお願いしたいと思います。

時効とは何でしょうか。聞いたことはありますか。
時効とは大きく分けて「取得時効」と「消滅時効」があります。
取得時効とは、期間を定めて所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有することによって所有権を時効により取得できるものと規定されていますが、今回は取得時効ではなく、消滅時効ですので、こちらの詳細の説明は割愛します。

「権利の上に眠るものは法の保護に値せず」
とい法律の格言があります。たとえ権利を持っていたとしても行使をせず放置をしてしまった場合には保護をされないということです。
災害共済給付制度も時効について規定があり、独立行政法人日本スポーツ振興センター法第32条に
「災害共済給付を受ける権利は、その給付事由が生じた日から二年間行わないときは、時効によって消滅する。」
と決められていて、給付を受けることができる状態になってから2年間放置してしまうと時効によって請求を受ける権利がなくなるということのようなのです。
「請求手続きをどうやればいいかわからない。」
「わからないことをやるのが面倒だから・・・。」
「親御さんが書類を出さないから請求するつもりがないのかなと思って・・・。」
「学校の担当者が代わったけれど、話を前任者から聞いていないので未請求分があるなんて知らなかった。」
なんてことがあるとあっという間に2年が経過していますので、これは本当に注意が必要です。

公式ページでは以下のように説明しています。

●医療費
同一の負傷又は疾病に係る医療費の月分ごとに、翌月10日の翌日(11日)から起算して2年の間に請求を行わないときは、時効となります。

●障害見舞金
負傷又は疾病が治った日の属する月の翌月10日の翌日(11日)から起算して2年の間に請求を行わないときは、時効となります。

●死亡見舞金
死亡した日の翌日から起算して2年の間に請求を行わないときは、時効となります。

細かい書きぶりは分かり難いかも知れませんが、要は全て請求が可能になっているにも関わらず、請求しないまま放置してしまった場合に2年でその権利が失われるという趣旨の記載がされています。
親御さんはもちろん学校現場においても学校の管理下のおけが等があって請求がされていないものがないか今一度確認をするようにしてください。

なお、医療費については、公式の説明にもあるようにその月分ごとに時効がありますから注意が必要です。
どういう意味かと申しますと、たとえば6月に生じた医療費と7月に生じた医療費では例え同じ災害であったとしても時効の成立する時期が異なるということです。
具体例をもって説明しましょう。

・災害
平成28年6月28日、校庭でサッカーをしていて相手選手とぶつかり、転落して鎖骨骨折をした。

・診療
平成28年6月分 12,500点
平成28年7月分  4,600点
平成28年8月分  1,200点

・請求をしなかった理由
本来すぐに請求をすべきでしたが、親御さんは仕事などで忙しくしていたため請求をせず、学校でも治療が完了してから請求があるのだろうと判断していたため放置しているうちに忘れてしまった。

この場合、それぞれいつが時効となるのでしょうか。

・平成28年6月分
翌月10日の翌日(平成28年7月11日)から起算して2年
→平成30年7月10日に時効成立 平成28年7月分の12,500点は平成30年7月10日までに独立行政法人日本スポーツ振興センターに請求行為が行われないと時効により支給を受ける権利が消滅します。

・平成28年7月分
翌月10日の翌日(平成28年8月11日)から起算して2年
→平成30年8月10日に時効成立 平成28年8月分の4,600点は平成30年8月10日までに独立行政法人日本スポーツ振興センターに請求行為が行われないと時効により支給を受ける権利が消滅します。

・平成28年8月分
翌月10日の翌日(平成28年9月11日)から起算して2年
→平成30年9月10日に時効成立 平成28年9月分の1,200点は平成30年9月10日までに独立行政法人日本スポーツ振興センターに請求行為が行われないと時効により支給を受ける権利が消滅します。

 このように月分ごとに時効が進行していきますので、一部時効になって支給を受ける権利を喪失していても、その後の分については時効がまだ成立していない場合もあります。
 ご家庭でも学校でも時効によって給付を受ける権利が失われるようなことにならぬよう十分に注意をお願いします。特に学校現場においては、給付を受ける権利があるのは保護者であることであることを鑑み、学校の不手際などで放置してしまったり、保護者への案内を間違ったり怠ったりして2年経過することのないよう、十分に気をつけることが必要であろうと思います。

この記事を書いている人 - WRITER -
本サイトは、災害共済給付制度の理解を深めることを目的としています。災害共済給付とは、一般的には「学校の保険」「スポーツ保険」「スポ振」「安全会」などと呼ばれることが多いのですが、正確には「災害共済給付制度」といいます。学校(「保育園」「幼稚園」「認定こども園」などを含みます。以下同じ。)の設置者、学校の先生、学校の先生を目指す方、学校にお子様を通わせている保護者の方、様々な方がご覧になることを想定しています。ただ一点だけ御注意いただきたいことがあります。それは、本サイトが給付の可否を断定するものではないということです。本サイトの情報をもとに請求の手続きを進めていただけたらと願いますが、最終的な給付の可否については日本スポーツ振興センターの審査結果によります。給付ができないようなことももちろんあると思いますが、きちんと手続きを踏めば適正な給付を受けることができるものを1件でも多く救いたいと思います。

Comment

  1. ママ より:

    事故など怪我から時効は2年と書いてありますが、生保や損保の様に、3年後(2年後)の翌日とか、日本スポーツ振興センターのホームページ、印刷物には、具体的に書いていません。医療費、高度障害は、2年後の翌月10日になっています。我が子の怪我、この例に近く、平成29年6月○日なのですが、時効2年後の平成31年5月10日、教育委員会5日、ゴールデンウィークなので、4月末。2年弱で時効が来てしまうと言われています。学校から地域の日本スポーツ振興センターに問い合わせをされました。間違いであればいいのですが。治療にはまだ時間が掛かりるので困っています。

    • TASPT より:

      こんにちは。災害共済給付における時効とは事故や怪我から2年ではなく、療養月から2年と考えます。例えば、平成29年6月中に起きた事故で怪我をしたとして、平成29年6~9月まで治療を受けていたとします。その場合、平成29年6月分は本来、翌月の10日である平成29年7月10日までに独立行政法人日本スポーツ振興センターに請求をする決めがあるのですが、医療機関の都合や保護者様の都合で難しいことがあるでしょう。そのときにこの医療費がいつ時効を迎えるか。それが平成29年7月10日から2年後の令和元年(平成31年)7月10日なのです。7月11日以降に独立行政法人日本スポーツ振興センターに請求が届いても時効により不支給となってしまいます。なので、学校→設置者(教育委員会など)を通して独立行政法人日本スポーツ振興センターに7月10日までに請求をすれば平成29年6月分は時効の問題にはならないということになります。続いて平成29年7月分の医療費は令和元年8月10日まで、平成29年8月分の医療費は令和元年9月10日まで、平成29年9月分の医療費は令和元年10月10日までに独立行政法人日本スポーツ振興センターに請求が届けば良いと言うことです。気をつけなければいけないのが、学校にお母さんが書類を出す期限ではなく、教育委員会が独立行政法人日本スポーツ振興センターに出す期限であることです。事務処理に時間がかかりますから余裕を持って提出しましょう。それと治療が終わるまで請求を待つ必要は全くありません。治療中であったとしても月ごとに取りまとめて毎月請求できます。 これで解決しましたでしょうか。

  2. ママ より:

    お忙しい中、ありがとうございます。
    事故の時効ですが、通院と同じく、翌月の10日になるのでしょうか?
    日本スポーツ振興センターのホームページや規約には、事故の時効は2年としか書いていないので、
    実際、事故の日の前日または当日、生保や損保の様に翌日までに請求しないといけない気がしておりますが、どうでしょうか?

  3. ママ より:

    よく理解できておらず、再度同じ質問をしてしまいました。
    申し訳ありません。
    学校の先生にお伝えしたいと思います。
    ありがとうございました。

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