災害共済給付について私が知っていることを皆さんと共有したい

高額療養費とは3 知って得する、知らないと損なこと

2018/07/29
 
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本サイトは、災害共済給付制度の理解を深めることを目的としています。災害共済給付とは、一般的には「学校の保険」「スポーツ保険」「スポ振」「安全会」などと呼ばれることが多いのですが、正確には「災害共済給付制度」といいます。学校(「保育園」「幼稚園」「認定こども園」などを含みます。以下同じ。)の設置者、学校の先生、学校の先生を目指す方、学校にお子様を通わせている保護者の方、様々な方がご覧になることを想定しています。ただ一点だけ御注意いただきたいことがあります。それは、本サイトが給付の可否を断定するものではないということです。本サイトの情報をもとに請求の手続きを進めていただけたらと願いますが、最終的な給付の可否については日本スポーツ振興センターの審査結果によります。給付ができないようなことももちろんあると思いますが、きちんと手続きを踏めば適正な給付を受けることができるものを1件でも多く救いたいと思います。

高額療養費制度について説明をしてきましたが、実は高額療養費制度についてお調べの方のアクセスが多いので、もう少し掘り下げてみたいと思います。
今回は災害共済給付制度(スポ振/学校の保険/スポーツ保険/安全会)ではなく、健康保険上の高額療養費制度のお話ですので、子どもの怪我ではなく、もし「自分が入院・手術するなら・・・?」など、子どもではなく大人が入院する場合を考えてみてください。

さて、高額療養費制度においては、自己負担限度額が定められていると説明しましたね。
具体的には世帯の所得状況に応じて以下のとおり決められているのでした。

◆課税者
課税者ア  252,600円+α
課税者イ  167,400円+α
課税者ウ  80,100円+α
課税者エ  57,600円
◆非課税者 35,400円

詳細はこちら(高額療養費とは1)を参照ください。
おそらく一番該当者が多いのは課税者ウではないかと思いますので、課税者ウを例にして説明をいたします。
ただし、+αについては計算をややこしくするだけで今回のお伝えしたいことの本質とは全く関係がないで、「+α」についてはあえて無視します。
自己負担限度額が80,100円ということは、80,100円以上の窓口負担の必要があったときに80,100を超えた分は負担しなくても良い(返してもらえる)ということです。
自己負担が80,100円ということは、医療点数に直すと26,700点ということです。
ここまで大丈夫でしょうか。
自己負担は総医療費の3割でしたよね。
医療点数は1点あたり10円で計算します。
26,700点とは、1点あたり10円ですから267,000円のことです。
そのうちの3割、すなわち30%が自己負担になるのですが、267,000円×30%=80,100円ということです。
なので、課税者ウの方は、医療点数にすると一月に26,700点を超える医療行為があったときに自己負担限度額(80,100円+α)に達しますので、それ以上の医療費は負担しなくて良くなるわけです。
たとえ実際に発生した医療費が267,000円どころではなく、100万でも200万でも80,100円+αを自己負担限度額にしてくれるわけです。
もっとも高額になればなるほど+αも大きくなりますが、それでも本来の3割負担に比べたらわずかな額です。

ここで注意が必要なことが大きく2点あります。これが知っていると知らないとで大きな差がでる今回の記事の趣旨です。

●高額該当の計算をするのは単位療養額が7,000点(70,000円)を超えるものだけ
課税者ウの方が一月の窓口負担が80,100円(26,700点)を超えたら限度額に達すると伝えましたが、もしあなたがお医者さんの治療方針に納得が行かず、治療を継続して受けずに医療機関を転々とした場合、実際に支払った額が80,100円を超えていても高額療養費に該当しない場合があります。
具体例をもって説明しましょう。

・Xさん
当初係りつけのA医院に受診したが、大病院のB総合病院を紹介され、そこで入院・手術を行った。その後はしばらくB病院で外来でリハビリをしている。
A医院 外来 2,650点
B病院 外来 7,200点 入院24,600点
Xさんの場合はA医院の分は7,000点に満たないので高額療養費の計算に含むことはできませんが、B病院の外来、入院は7,000点を超えていますので、合算して考えます。
すると31,800点ありますから26,700点以上となり、自己負担限度額以上については還付を受けることが出来ます。
Xさんの自己負担
A病院  7,950円
B病院 95,400円
合計  103,350円
還付される医療費 14,790円(B病院の自己負担限度額が80,100円+α(510円)のため80,610を超えた分を還付)
実質の自己負担額 88,560円

・Yさん
最初から大病院のB病院に係ったが、治療方針に納得が行かず、C病院、D病院と転院を繰り返した。D病院に行ったときには既に初期治療が完了していたため、XさんがB病院で受けた処置より軽い処置で済んだ。リハビリは引き続きD病院の外来で行った。
B病院 外来 4,300点 初診時選療養費 5,000円
C病院 外来 3,700点
D病院 外来 6,500点 入院 22,600点
Yさんの場合、7,000点を超えているのはD病院の入院分だけです。ですからB病院やC病院の治療費、D病院の外来分は高額療養費に算定できません。しかし、D病院の入院分だけでは26,700点に達しないため、Yさんはこんなにも負担が大きいのに高額療養費制度に該当しないことになります。また、初診時選定療養費も健康保険の適用外のため高額療養費に算入することはできません。
Yさんの自己負担額
B病院 12,900円+5,000円
C病院 11,100円
D病院 87,300円
合計 116,300円
高額療養費による還付 0円

なんとYさんの方が手術は軽く済んだにも関わらず、最終的な自己負担はYさんのほうが大きくなりました。治療を受けていても7,000点を超えるものが複数あったXさんは高額療養費に該当しました。また、まずはかかりつけの医療機関に行ったことで大病院に転院する際も「初診時選定療養費」が発生せずに済みました。それに対してYさんはかかりつけ医がなかったために最初から大病院に行って保険外費用が発生し、医療機関を転々とした結果、それぞれの医療機関で治療を受けることができたものの、7,000点には満たず自己負担ばかり膨らむこととなりました。
上記の例は極端な例ですが、Yさんのようにならないためには、
・普段から相談できるかかりつけ医を持つ(眼科・皮膚科・整形外科・耳鼻科など科ごとに信頼できる医療機関を持っておきましょう。)。特に引越し直後などは早めにかかりつけ医を探しておく必要があります。
・必要な転院は止むを得ませんが、費用がかさむ可能性があることは承知しておきましょう。

などでしょうか。

さて2つ説明をする予定でしたが、既に相当な文字数に達しているため、読む方も疲れると思いますから今回はここまでとしたいと思います。
また次回、2つめの知っとくとお得、知らないと損なことをお話したいと思います。

高額療養費とは1

高額療養費とは2

高額療養費とは4

災害共済給付における高額の取り扱い

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本サイトは、災害共済給付制度の理解を深めることを目的としています。災害共済給付とは、一般的には「学校の保険」「スポーツ保険」「スポ振」「安全会」などと呼ばれることが多いのですが、正確には「災害共済給付制度」といいます。学校(「保育園」「幼稚園」「認定こども園」などを含みます。以下同じ。)の設置者、学校の先生、学校の先生を目指す方、学校にお子様を通わせている保護者の方、様々な方がご覧になることを想定しています。ただ一点だけ御注意いただきたいことがあります。それは、本サイトが給付の可否を断定するものではないということです。本サイトの情報をもとに請求の手続きを進めていただけたらと願いますが、最終的な給付の可否については日本スポーツ振興センターの審査結果によります。給付ができないようなことももちろんあると思いますが、きちんと手続きを踏めば適正な給付を受けることができるものを1件でも多く救いたいと思います。

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