高額療養費とは4 知って得する、知らないと損なこと
さて、何回にも渡って高額療養費について説明をしてきていますが、今回もまた災害共済給付制度(スポ振/学校の保険/スポーツ保険/安全会)ではなく健康保険としての高額療養費制度についてお話をしていきたいと思います。
知っていたら得をする、知らないと損をする高額療養制度の秘密とは・・・。
前回の記事も参照くださいね。
急に大きな怪我や病気をした場合、救急搬送されてそのまま入院・手術などということがあります。
この場合は治療上やむを得ず即入院手術となるものですからどうしようもないのですが、実際には時間をおいて病院と患者の都合の良いときに本格的な治療を再開するようなことがあります。
良くあるのが膝の前十時靱帯損傷などの場合に、身動きが取れないようなひどい状態であれば別ですが、そうでなければ夏休みに入ってからとか、学校を卒業するまで入院や手術を待つことがあります。
また、一度手術をしたときに固定のためにボルトを埋め込んだ場合などは、固定が終わり次第、取り出さなくてはなりません。
そういったボルト除去といった手術も病院と患者さんの日程が合うところで入院・手術日が決まります。
そこでお伝えしたいのが、同じ内容の入院・手術だとしても、月を跨いで2ヶ月に渡って治療をされた場合と、1日~31日の間に入院・手術をした場合では自己負担額が変わってくる可能性があるということです。
同じ医療点数だとしても自己負担が同じではなくなってしまうことがあるのです。大切なことなのでぜひ知っておきましょう。
Aさんの場合
前十時靱帯損傷を追ったが病院と患者の都合が折り合わず、7月下旬から8月上旬に掛けて入院・手術を行った。
7月分 入院 21,000点
8月分 入院 10,000点
外来リハビリ 7,500点
装具 80,000円
Bさんの場合
Aさんと全く同程度の負傷であったが、8月に入ってから入院手術を行いった。
8月分 入院 31,000点
外来リハビリ 7,500点
装具 80,000円
AさんもBさんも同じ課税者ウだとします。
どちらも外来は7,500点で装具は80,000円です。入院に関してはAさんは7月に21,000点・8月に10,000点で、Bさんは8月にまとめて31,000点です。治療内容も全く同じです。
それぞれの負担額
Aさん 7月 入院 63,000円(7月分だけでは自己負担限度額に達しないので3割負担)
8月 入院 30,000円(7,000点を超えるものの高額の対象とならない)
外来 22,500円(7,000点を超えるものの高額の対象とならない)
装具 24,000円(70,000円を超えるものの高額の対象とならない)
合計139,500円
Aさんはそれなりに負担をしているにも関わらず、2ヶ月に分かれてしまったので、それぞれの月ごとにみたときに高額療養費に該当しなくなってしまったのです。それに対してBさんはというと・・・。
Bさん
8月 入院 課税者ウの自己負担限度額に達しているため限度額までの支払
外来 7,000点を超えているため入院と合算して限度額までの支払
装具 70,000円を超えているため入院と合算して限度額までの支払
自己負担限度額の計算式は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%です。
総医療費は、
入院310,000円(31,000点)+外来75,000円(7,500点)+装具80,000円です。
合計465,000円になりますね。
計算式に代入すると・・・
80,100円+(46,500円-267,000円)×1%
=80,100円+(19,800円)×1%
=80,100円+1,980円
=82,080円
Bさんの自己負担は82,080円となりなます。
全く同じ治療、同じ医療点数、同じ自己負担限度額であったとしてもAさんとBさんとでは57,420円もの差が出来てしまいました。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
これは健康保険制度が毎月1日~月末までを一区切りとして判断をしているためです。
2ヶ月に渡ってしまうとそれぞれがそれなりに高額でも自己負担限度額に届かず、3割負担。
1ヶ月にまとめると自己負担限度額に達するので自己負担限度額を超えた分は負担しなくてもいいということになります。
これまでの話がもし分かりづらかったらここだけ覚えておいてください。
「入院や手術が緊急のものではない場合、月始めから治療を開始した方がお得」
月の途中や終盤から手術入院をしてしまうと2ヶ月にまたがってしまう可能性がより高くなるからです。
しかし、理屈が分からなくても全く問題ありません。大丈夫です。
せっかく健康保険に加入しているのですから有効に活用しましょう!」
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