眼の障害見舞金について【2】
前回の記事では学校や保育園での眼の障害のうち、視力障害について障害等級認定の基準から読み取れることについてお話をしました。
では眼の障害のうち、視力障害以外の障害についてはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は眼の機能障害のうち、【調節機能障害】【運動障害】 【視野障害】についてご案内いたします。
【調節機能障害】
「眼球に著しい調節機能障害を残すもの」とは、調節力が通常の場合の ほぼ1/2以下に減じたものをいう。
注 調節力とは、明視できる遠点から近点までの距離的な範囲(これを調節域という。)をレンズに換算した値であり、単位はジオプトリー(D) である。
調節力は、年齢と密接な関係があり、次のとおりとなっている。
10歳―12(D)
20歳―8(D)
→簡単に言えば、ピントを合わせる力です。そもそも「老眼」という言葉があるように年齢に応じてこの力は低下してしまうものですが、通常の場合のほぼ1/2以下になった場合に該当するようですね。個人差があるのでしょうけれども、一般的には10歳で12D位、20歳で8D位の調節力があるようです。眼球摘出をしなければならなくなった場合には、義眼では調節力がありませんから調節力は0になってしまいます。眼球摘出に至った場合には障害診断書にきちんと眼球摘出をして調節力が0である旨証明をいただきましょう。
1 両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの 第11級の1
2 一眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの 第12級の1
【運動障害】
「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは、眼球の注視野の広さがほぼ 1/2以下に減じたものをいう。 注 注視野とは、頭部を固定し、眼球を運動させて直視することのできる範囲をいう。
注視野の広さは、相当個人差があるが、多数人の平均では単眼視では 各方面約50度、両眼視では各方面約45度である。
→こちらについては特に補足説明は必要ないかと思います。注視野というものがあり、それが1/2以下に減じた場合に対象となるということです。注視野に障害があると複視を生じることがあります。
1 正面視で複視を残すもの 第10級の2
2 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの 第11級の1
3 一眼の眼球に著しい運動障害を残すもの 第12級の1
4 正面視以外で複視を残すもの 第13級の1
【視野障害】
1 視野とは、眼前の一点をみつめていて、同時に見得る外界の広さをいう。
2 「視野の測定は、ゴールドマン型視野計によることとし、V/4指標に よる8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の合計のほぼ60%以 下になった場合「半盲症」、「視野狭窄」及び「視野変状」という。
なお、暗点は絶対暗点を採用し、比較暗点は採用しない。
→視野障害については、【ゴールドマン型視野計】によること、【V/4指標】による検査をすることなどが定められていますので、注意が必要です。かかりつけの医療機関でこれらの検査が出来るかどうか相談をしてみましょう。
注1 半盲症とは、視神経線維が、視神経交叉又はそれより後方において 侵されるときに生じるものであって、注視点を境界として、両眼の視野の右半部又は左半部が欠損するものをいう。両眼同側の欠損するも のは同名半盲、両眼の反対側の欠損するものは異名半盲という。
2 視野狭窄とは、視野周辺の狭窄であって、これには、求心性狭窄と不規則狭窄とがある。
3 視野変状には、半盲症、視野の欠損、視野狭窄及び暗点が含まれるが、半盲症及び視野狭窄については、障害等級表に明示されているので、ここにいう視野変状は、暗点と視野欠損をいう。
3 暗点とは、生理的視野欠損(盲点)以外の病的欠損を生じたものをいい、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜の出血、脈絡網膜炎等に見られる。 比較暗点とは、V/4指標では検出できないが、より暗い又はより小さな指標では検出される暗点をいう。
1 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 第9級の3
2 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 第13級の2
障害見舞金の請求をする前に障害見舞金の概要について、再度ご確認ください。
見舞金はあくまで最後の手段です。できることならお子様のために視力障害が残らぬよう全力を尽くしましょう。
なお、今回紹介した3つの眼の機能の障害についてですが、共通して言えることがあります。それは片目にだけ障害が残った場合に、人間の眼の機能として他方の眼が補おうとしますから、自覚症状に乏しい場合があるということです。障害が残っているにもかかわらず、健康な眼が頑張ってしまって見ることができるものですから本人はなかなか気づかないということです。しかし、健康な眼に対する負担は当然大きいので、健康な眼についても徐々に機能低下を起こすことがあります。
また、視力検査と異なり、かかりつけの眼科医がこれらの検査をできる機器を揃えているとは限りません。必要に応じて大きな医療機関に転院や検査のため出向くことも必要かもしれません。特に「眼窩底骨折」「網膜はく離」「網膜裂孔」などの場合には、このような障害が残りやすいようです。また、「外傷性黄斑円孔」なども外傷後の適切な処置が遅れると障害になる可能性があります。
お子様が眼のお怪我をされたときは適切な処置が迅速にできるよう放置しないことが大切ではないかと考えます。
障害見舞金とは
眼の障害見舞金について【1】
眼の障害見舞金について【3】
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